庄内柿の不思議 ~種がないのは単為結果(たんいけっか)のおかげ
日本の柿には何がある
日本の代表的な柿は、栽培面積で1位富有柿(ふゆがき)2位平核無(ひらたねなし)3位刀根早生(とねわせ)となっています。庄内柿は、平核無と刀根早生の2品種です。平核無と刀根早生はどちらも種のない渋柿で、大きさ等含めて大きな違いは見られません。庄内柿として2品種栽培している理由は、出荷時期の違いです。刀根早生の出荷時期は、9月下旬ぐらいから10月中旬まで、平核無が10月中旬から11月中旬と、長い期間消費者の方に柿を提供できるので2品種栽培しています。さて、一方の富有柿は種のある甘柿です。
種有と種無の違いは
一般的に植物には雄花(雄しべ)と雌花(雌しべ)があり、受粉(受精)によって種という子孫を残します。柿は基本的に、雄株と雌株に分かれており、1本の木はどちらかの花しか咲きません。そのため、富有柿をはじめ種のある柿は、多数の雌株の中に、授粉用の雄株を1本程度植えておく場合が一般的です。
一方の、平核無と刀根早生は雌株しかなく、受粉しなくても大きな果実をつけます。このような植物を単為結果(たんいけっか)と呼びます。
当園の庄内柿の断面
単為結果(たんいけっか)とは
単為結果(たんいけっか)とは、植物において、受粉(受精)が行われずに子房が肥大化し果実を形成することをいいます。例えば、バナナやパイナップルなどは受粉することなく果実が肥大化する植物です。種無しブドウは、房の小さい時にジベレリン処理という植物ホルモン液に浸ける作業を行い、種無スイカは3倍体という染色体が3倍になるよう、これも植物ホルモンのコルヒチンを利用したものです。
庄内柿誕生の歴史
庄内柿は、明治18年に鶴岡市の鈴木重光が新潟の行商人から苗木を購入し育てたら、1本だけ種のない柿を見つけたことが始まりだと言われています。その苗を、広めたのが庄内藩家老の子息であった酒井調良(ちょうりょう)でした。調良は、庄内の農産物の基幹になるものだと考えて、その種無柿を普及させたのでした。
鶴岡公園内の酒井調良の銅像
まとめ
さて、今回は庄内柿が単為結果のため、種ができないこと、受粉(受精)を行わないのに果実が大きくなること、を説明しました。このような現象は、自然界では多々起こり、庄内柿は明治の頃にたまたま育てた苗木の1本が種無し柿だったことから始まったことを書かせていただきました。考え出すと、自然界の不思議な節理を感じると共に、大自然の中で人類は生かされているんだなぁという思いに至りました。美味しい柿に感謝して食べましょう。
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今年も実りの秋を迎えました。10月10日から柿の事前予約販売を開始します。
柿にはポリフェノールの一種であるタンニンが豊富に含まれ、栄養面でも素晴らしい果物です。是非一度甘くて大きい柿を食べてみて下さい。
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