柿は何故渋い?~渋は健康に良い!
渋柿と甘柿
柿の品種は世界に1,000種ほどあるのですが、そのほとんどが渋柿です。甘柿は20種類ほどしかありません。どうしてこんな意地悪な果物なんですかねぇ~。そもそも植物の生存戦略でしょうから、種が成熟するまでは「酸っぱい」や「苦い」とかの味覚にして、動物から食べられないように進化したのでしょうが、それにしても柿の渋みはちょっとエグイですね。
柿渋の原因~タンニンとは
さて、その柿渋の原因はカキタンニンと呼ばれています。タンニンは、植物が持つ天然の化合物です。茶やワイン、ビールなどの飲み物に含まれているほか、果物、野菜、木材などの様々な植物に含まれています。
タンニンは、植物の成長や保護に必要な役割を果たしています。また、食べ物や飲み物としても様々な効果があると言われています。例えば、紅茶や赤ワインに含まれるタンニンは、抗酸化作用があるため、健康にも良い影響を与えると共にコクや深みも生まれます。また、血液中のアルコールを分解する働きがあり、血圧の上昇を抑える効果もあります。
また、木材に含まれるタンニンは、腐朽菌や害虫から木を守る役目を持っています。これは、古くから家具や建築材料などに用いられてきた歴史があります。
そして、タンニンは皮膚や口腔内を引き締める作用があるため、美容や医療分野でも利用されています。例えば、アフターシェーブローションや歯磨き粉、美容クリームなどにも使われています。
このように見ていくとタンニンには良い面もあることが分かります。
渋みを感じるメカニズム
小さい頃に、渋柿と甘柿の違いが分からず、渋柿を食べてしまった時の反応は、急に口の中の水分がなくなり、柿を吐き出しペェッ!ペェッ!としても、どうしよもなく口の中に渋味が残っている気持ち悪さを体験した人は多いのではないでしょうか?さて、この反応はどうして起こるのでしょうか?カキタンニンで渋みを感じるメカニズムは、主に以下のようなものです。
1 口の中にタンニンが入ると、タンパク質と結合し、口の中にタンニンがたまります。
2 舌には、甘味、渋味、酸味、塩味、渋味を感じる細胞があり、タンニンは渋味を感じる細胞を刺激し渋味を感じるようになります。
3 タンニンは水分を奪う性質があります。そのため、タンニンが口の中に入ると、口の中の水分が減少し、渋味を感じることになります。
補足 ちなみに、渋味を和らげる方法としては、牛乳やヨーグルトなどタンパク質を多く含むものを飲むと渋味がなくなりますよ。
渋柿が熟して甘柿になると
渋柿が成熟すると甘柿になります。このメカニズムはどうなっているのでしょうか?渋柿のカキタンニンは水溶性のため食べると上記のような反応が起こります。成熟するとカキタンニンは、水溶性から不溶性に変化するため、水に溶けなくなり食べたときにタンパク質と結合したり、口の中の水分を吸収したりなどの反応をしなくなります。つまり、タンニンはそのまま残っているため、タンニンによる効果は保持したままです。
まとめ
渋の原因であるタンニンは、一見悪者に見えますが、実は様々な効能があることが分かりました。とは言え、渋柿をそのまま食べる勇気はありませんねぇ。でも、渋柿中に含まれるタンニンは、渋抜きした後になくなるのではなく、そのまま不溶性となって残り続けます。古来より「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われてきました。タンニンを一つ取り上げても、諺(ことわざ)は正しいことが分かりますね。
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今年も実りの秋を迎えました。10月10日から柿の事前予約販売を開始します。
柿にはポリフェノールの一種であるタンニンが豊富に含まれ、栄養面でも素晴らしい果物です。是非一度甘くて大きい柿を食べてみて下さい。
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